「インスタ映え」が2017年の流行語大賞に選ばれるほど、snsは私たちの生活に欠かせない“発信の場”となっています。
Instagramやfacebook、twitterなどのsns、またはブログ、匿名掲示板など、ネットを利用したコミュニケーションは、最早私たちの生活の一部です。
一方で、このネットを利用したストーカー被害が近年問題視されています。
ネットストーカーの被害に遭わないように、また、被害に遭ってしまった場合、私たちはどのような対策を取れば良いのでしょうか?
ネットストーカー被害への対策及び対処法をご紹介いたします。
ネット上で行われるストーカー被害「ネットストーカー」の恐怖
sns・ブログ・匿名掲示板などのインターネットを利用したストーカー行為を「ネットストーカー」と呼びます。「ネトスト」「サイバーストーカー」とも呼ばれるこの悪質行為は、snsの普及でより増加した比較的新しい犯罪です。
新しい犯罪であるネットストーカーに対応し、2017年1月の法改正で、ネットによるストーカー行為も取り締まりの対象となりました
具体的にどのような行為がネットストーカーに該当するのかを見て参りましょう。
snsやブログにつきまとい不快なコメントの残す
Instagram、facebook、twitterなどのsns、またはブログなどのコメント機能を利用したストーカー行為です。snsに投稿する度、あるいはブログを更新する度に、同じ人物からメッセージが送り付けられてくるケースを指します。
芸能人のsnsやブログに毎回応援コメントを残す熱心なファンの方がいますが、こういったファンとは明確に一線を画します。それは送られる側にとって「不快」なコメントであるという点です。
例えば、交際を申し込む、返信を強要する、卑猥な言葉を送り付ける、などの内容が該当します。
ネットストーカーの被害は芸能人に限りません。ネットを利用する全ての人に被害に遭う可能性があります。
メールやsnsのダイレクトメールを連続して送って来る
連絡先を知っている知人がネットストーカー化してしまった場合、メールやLINEが連続して何通も送られて来るケースが見られます。被害者は通知が来る度に怖い思いをし、大きな心理的負担を抱えるようになってしまいます。
また、Instagram、facebook、twitterといったsns、またはブログ利用している女性が、全く見ず知らずの男性からストーカー被害を受けるケースもあります。プロフィールや投稿されている写真を見て、一方的に恋愛感情を抱かれてしまう場合もあるのです。
恋愛感情以外にも、投稿された内容への妬みや僻みからストーカー化する男性もいます。
誹謗中傷する言葉を送り付ける、ネットで拡散する
ネットを通じて誹謗中傷をし続ける行為です。例えば、一方的に恋愛感情を抱いた男性が、無視され続けることによって急に誹謗中傷を行うようになるケースがあります。
本人を否定し、傷付けるような言葉を執拗に送り付ける、極めて悪質な行為です。多くは怨みが動機となりますが、中には「間違った正義感」からネットストーカー化してしまう場合もあります。
代表的な例が、お笑いタレントのスマイリーキクチさんが長年に渡り中傷され続けた事件です。
「殺人事件の犯人だ」という根も葉もないデマを信じた人たちが、ネット上でスマイリーキクチさんの誹謗中傷を続け一斉摘発された事件は、覚えている方も多いのではないでしょうか。
投稿された内容や画像から個人情報を集め特定しようとする
個人でやっているsnsやブログに個人情報を載せることは、極めて危険な行為と言えます。知らない人から電話がかかって来たり、ある日突然、知らない人が自宅を訪ねて来たりといったリスクが生じます。
もちろん、多くの方がネット上に個人情報を載せないように気を付けているかと思います。しかし、ネットストーカーはsnsやブログの内容・画像から、どこの誰であるかを特定しようとします。
例えば、部屋の窓から見える風景を撮影し、画像をsnsに載せただけで、住所が特定されてしまったケースがあります。また、参加するイベントや近隣のお店の名前などから、特定が進んでしまう場合が見られます。
SNSにおけるネットストーカー行為 4大snsの特徴とリスク
sns(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は「社会と繋がること」を目的としたサービスであるため、ネットを通じて他者とのコミュニケーションが容易に行えます。それは大きな利点ですが、ストーカーに悪用されるリスクも生じます。
2018年4月現在、「4大sns」と呼ばれる代表的な4つのsnsそれぞれの特徴とリスクをご紹介いたします。
知人や元彼、元旦那から受けやすいLINEでのストーカー行為
一般的にLINEはメールに代わる連絡手段として普及しましたが、現在は「ホーム」「タイムライン」が実装され、れっきとしたsnsとして機能しています。
しかし、LINEを用いたネットストーカー被害の多くは、やはり「既に繋がっていた相手」からによるものです。知人や元彼、元旦那から、連続して何件も送られて来るという被害が報告されています。
LINEによるネットストーカー被害の恐ろしい所は、既に個人の特定が済んでいる場合が多いという点です。住所や学校、職場などがストーカーに知られている場合が多いため、被害がネットに収まらず、直接会いに来られる可能性があります。
facebookを利用したネットストーカー被害
facebookはメインの機能がタイムラインであり、LINEよりもより不特定多数の人と繋がりやすいsnsと言えます。
「友達」のページだけでなく、友達を通じて全く知らない第三者のページを閲覧することも可能です。そのため、見ず知らずの人から突然友達リクエストを受け取ることもあります。
facebook ユーザーの特徴は、本名で登録している人が多いという点です。そのため、個人の特定が容易にできてしまいます。投稿の内容によっては、学校や職場、住所の特定にも繋がりますので、注意が必要です。
画像の投稿が簡単にできるのもfacebookの魅力の一つですが、その画像が悪用されるリスクは考慮しなければなりません。
最も気軽に使えるsnsであるが故にリスクも多いtwitter
国内だけでも4500万人のユーザー数を誇るtwitter。facebookの国内ユーザー数が2800万人なのに対し、ツイッターが倍以上のユーザー数を獲得できたのはその「気軽さ」にあると考えられています。
日本のtwitterユーザーの多くはアカウント名をニックネームで登録しています。そのため匿名性が保たれ、気軽に始められるという特徴があります。
一方で、気軽に使える、匿名性が高いというtwitterの魅力は、ユーザーのモラルを低下させる一因にもなり得ます。2016年の「小金井ストーカー殺人未遂事件」では、事件前に犯人から被害者へのtwitterでのストーカー行為が行われていました。
近年ユーザー数を急増させているインスタグラム
インスタグラムの特徴は、「インスタ映え」が流行語大賞になったことからも分かるように、画像に重点を置いたsnsである点です。ユーザーは競うようにオシャレな画像を日々投稿しています。
アカウント名は、twitterと同様に実名を使わないユーザーが多いです。
女性が顔を含めた容姿を投稿すると、男性から多くの「いいね」がもらえる傾向があります。男性がsnsを通じて女性と繋がりたがっているという事実の、一つの証左になるでしょう。
こういった、女性と繋がりたいという願望を持った男性がエスカレートしてしまった場合。twitterと同様に、匿名性を悪用したストーカー行為に及ぶケースが見られます。
ブログにおけるネットストーカー行為の特徴
ブログを用いたスッとストーカー行為には、本人のブログに書き込む場合と、ストーカー自身がブログを開設して行われるストーカー行為の二種類があります。
前者は特定の人のブログにつきまとい、コメントやメッセージ機能を用いて不快な言葉を送り続けるストーカー行為のことを言います。ブログの設定でコメントを不可にしたり、メッセージを受け取らない設定にしたりすることで対処可能です。
後者は、ストーカー自身がブログを開設し、ターゲットのことを書き続ける行為を言います。こちらは被害者自身がプロバイダに記事の削除依頼を出したり、警察に被害届を出したりと、自分で動かねばならないためより悪質と言えるでしょう。
匿名掲示板におけるネットストーカー行為の特徴
匿名掲示板を用いた悪質なストーカー行為も見られます。具体的には、ターゲットの個人情報を載せたり、実名を載せて誹謗中傷を書き込んだり、あるいは本人になりすまし評判を落とすようなことを書き込む行為です。
匿名掲示板を利用したストーカー行為の恐ろしい所は、被害者が気付かない所で行われるという点です。気付いた時には既にネット上で拡散されているケースが多いのです。
匿名掲示板である事から、被害者には犯人が特定できないのも極めて悪質な点の一つです。被害者はブログにおけるストーカー被害と同様に、管理人に削除依頼を出す、警察に通報する、といった対処が必要になります。
ネットストーカー被害への具体的な対策・対処法
ネットストーカー被害に遭わないためには、ネットを利用する上での正しい対策を行うことが重要です。また、既に被害に遭っている方は、頼るべき正しい相手に相談し、粛々と対処を行うことが大切です。
では、正しい対策・対処とは、一体どのようなことを言うのでしょう?
私たちはネットを利用する上で、どのような点に注意すればよいのでしょうか?
sns、ブログ、匿名掲示板を利用する上での、具体的なネットストーカー対策及び対処法をご紹介いたします。
snsを利用する上でのネットストーカー対策・対処法
snsでネットストーカー行為を受けないための基本的な対策は、公開を制限することです。信頼する人のみが閲覧可能な状態にすることが対策の基本となります。
しかし、不特定多数の人に情報を発信できるのがsnsの魅力でもあります。公開制限に抵抗がある方は、ブロック機能を有効に活用しましょう。危険を感じた時は、速やかにブロックする必要があります。
注意して頂きたいのは、既にストーカー化してしまった相手へのブロックはNGだという点です。ブロックされたことで逆上し、思わぬ行動を取る恐れがあります。
既にストーカー被害を受けている方は、snsのログが被害の証拠になります。証拠を揃えて警察へ相談しましょう。
ブログを利用する上でのネットストーカー対策・対処法
ブログに記事を投稿する際は、載せる情報を慎重に選ぶことが大切です。住所や職業、年齢、連絡先などが特定されてしまう文章や画像を載せていないか、公開前に確認することが大切です。
コメントやメッセージ機能を用いて執拗にいやがらせを行うネットストーカーが現れた場合は、設定で受け付けないようにすることを検討してください。
ストーカー自身が開設しているブログでストーカー行為が行われている場合は、速やかにプロバイダに通報し、記事の削除依頼をする必要があります。
なかなか対応してくれない場合は、個人情報漏えいや誹謗中傷部分を証拠としてプリントアウトし、警察へ被害届を出しましょう。
匿名掲示板でのネットストーカー被害への対策・対処法
匿名掲示板では良くも悪くも「目立つ人」がターゲットとなります。芸能人はその最たる例です。嫉妬や一方的な恋慕といった理不尽な理由で被害を受けるケースが多いです。
また、前述したスマイリーキクチさんのように「正義感」から被害に遭うケースもあります。ネット上でのデマを信じた人たちが、正義感からターゲットに粘着し、叩く、という事例です。一般人でも、ネット上で炎上した人はターゲットになりやすいです。
対策としては、「バカッター」に代表されるような炎上する行為をしないこと。既に被害に遭っている方は、管理人にコメント削除依頼をする、該当コメントを被害の証拠として集め警察へ通報する、といった対処が必要になります。
ネットストーカー被害を警察へ通報・相談するには「証拠」が必要
ネットストーカー被害への警察の対応は、年々改善されています。しかし、残念ながらまだまだ迅速とは言えないのが現状です。例えば警察へ通報し被害を口頭で伝えても、警察は何もしてくれないでしょう。では、どうすれば良いのでしょうか?
その答えは「証拠」を提出することです。警察はネットストーカー被害に遭っているという証拠がなければ、なかなか動いてくれません。
ネットストーカーがネット上に残した文言は、全て証拠になります。連続して誹謗中傷や脅迫を受けているというのが、被害を訴える上で重要視されます。可能な限り多くのコメント・メッセージを集め、被害の証拠として警察へ提出しましょう。
まとめ
ネットは私たちの生活の一部となっています。それだけに、悪質なネットストーカー行為が行われる温床ともなっています。
ネットを閲覧するという受け手として利用するだけでなく、snsやブログを用いて情報を発信する側に立つ場合。その際は、ネットストーカー被害に遭わないための正しい対策が必要になります。
まず、個人が特定されてしまうような情報は載せないように気を付けることが大切です。炎上してしまうような非常識な言動も避けるべきでしょう。
被害に遭ってしまった場合は、被害の証拠が非常に重要となります。ネットストーカー被害の証拠となるコメントを可能な限り集め、警察に被害届を提出するようにしましょう。