プライバシー侵害の被害でしばしば報告されるのが盗聴です。かつては自宅に盗聴器が仕掛けられたり、彼氏からのプレゼントに盗聴器が仕込まれたりといった手口がよく見られました。しかし、現在ではそのような大掛かりな手段を用いずとも盗聴ができる時代になってしまいました。
私たちの誰もが持っていて、しかも通信機能を持つ機器といえば携帯電話ですよね。最近、携帯電話の機能を悪用して盗聴に利用するケースが増えているといわれています。では、どんな手口で携帯電話を盗聴器にしてしまうのでしょうか?まずは、その点から解説したいと思います。
携帯電話は盗聴器として必要な3つの条件を満たしています!
一般的に盗聴器と呼ばれるものには次のような機能が必要とされています。まずは、周囲の音を拾って記録することです。盗聴器に備えられたマイクによって住民の会話や生活音などを聞き取り、それによってプライバシーや情報を盗み取るのが盗聴犯の大きな目的といえます。
次に、マイクによって盗み取った音声を記録もしくは送信する機能です。盗聴犯からすれば、盗聴器を用いて聞き取った音を何らかの手段で自分も聞く必要があります。音声を記録するタイプであれば後からデータが入ったSDカードなどを収集に来ますし、リアルタイムに送信する機能があればその必要もありません。
盗聴器に必要な3つ目の機能は、バッテリーやコンセント等からの給電によって自動で動くことです。盗聴する際に、盗聴犯がその場に居合わせて操作するというケースはほとんどありません。盗聴器は基本的には自動的に作動し、バッテリーやコンセント等で給電されている限りは半永久的に動き続けます。
さて、ここまで盗聴器に必要な3つの条件を見たときに、携帯電話はいずれの条件も満たしていることが分かります。通話をするために必要なマイク、データを記録するための記憶装置や送信するための通信装置、そして単独での可動が可能なバッテリーを携帯電話は全て備えています。
また、携帯電話のバッテリー容量自体はそれほど大きくなくても、持ち主が自分から定期的に充電してくれるので盗聴犯としてもバッテリー切れの心配をする必要がありません。このような点もあり、近年では携帯電話を盗聴器として悪用する盗聴犯が増えています。
スマホが盗聴されていないか調べるにはアプリを確認しよう!
さて、それでは盗聴犯はどのようにして携帯電話を使った盗聴を行っているのでしょうか?現在、社会問題になりつつある盗聴の方法としてスパイアプリを使ったものがあります。スパイアプリとは、携帯電話に知らないうちに盗聴用のアプリをインストールさせて、盗聴を行うというものです。
インターネット上には様々なアプリがあり、自由にインストールすることができます。しかし、一見するとゲームアプリや便利アプリのように見えて実はスパイアプリというケースが珍しくありません。こういったアプリは自分で起動しなくても勝手にバックグラウンドで作動するため一度インストールしてしまうと盗聴を止めるのが難しくなっています。
スパイアプリの特徴として、インストールしたはずなのにアプリ一覧に表示されないことや、ゲームアプリのはずなのに遊ぼうとするとエラーが出るというものがあります。スパイアプリには盗聴系以外にも遠隔操作系、盗撮系のアプリがあり、様々な犯罪に悪用されています。
こういったスパイアプリは基本的に狙った相手にインストールさせるのは難しいのですが、盗聴犯が友人や知人という場合には例外となります。おすすめのアプリだからとインストールさせておいて、実は盗聴が目的というケースが残念ながら少なくありません。
他には、交際相手の行動を監視するためにスパイアプリをインストールさせるというケースもあるので、相手が信頼できるからと言ってむやみにアプリをインストールすると盗聴被害に巻き込まれることもあります。さて、それではスパイアプリが自分の携帯電話に入っていないか調べるにはどうすれば良いのでしょうか?
携帯電話には「作動しているアプリ一覧」を表示する機能があるので、怪しいアプリを入れられた可能性がある方は一度チェックしてみると良いでしょう。ほとんどはメールソフトや時計、通話用アプリのように害のないアプリなのですが、インストールした覚えがないアプリがある場合は一度調べてみましょう。
ブラウザ等でアプリ名を検索すれば、それがどんな機能なのかがすぐに分かります。もし、検索した結果「スパイアプリ」ということが分かればすぐにアンインストール(削除)するようにしましょう。そのアプリがある限り、あなたの情報が悪意のある他者に筒抜けになってしまっているからです。
また、本来はスパイアプリではないのですが、盗聴などの目的に悪用されてしまいがちなのが「盗難防止用アプリ」です。盗難防止用アプリとは、携帯電話が見当たらない時にその端末の情報を記録したサイトや別の端末で調べることでその機器がどこにあるか教えてくれるアプリです。
こういったアプリには現在位置の情報や周囲の様子を調べる機能が付いているため、第三者に乗っ取られてしまうとスパイアプリと同じように使われてしまいます。ずっと更新が続いている最新のアプリであれば乗っ取りの可能性もそれほど高くありませんが、更新が滞っているアプリなどはセキュリティを突破されているかもしれません。
ですので、本来は便利な盗難防止用アプリも昔にインストールしたまま放置していると、いつの間にか盗聴アプリに変貌している可能性があるので注意が必要です。
「ライン」は携帯電話の盗聴に使われていませんので安心です!
ちょっとしたメッセージの交換や、電話料金ナシで通話できる「ライン」は大変便利なアプリなので、利用している方も多いのではないでしょうか?実は、ラインも一時期はスパイアプリなのではないかと疑われていました。ラインはメッセージや通話でプライバシーが多く飛び交っているので、盗聴されてしまうと大変なことになりますよね。
また、ラインの運営が利用者の個人情報を盗み見しているといった指摘もあったので、ラインは危険なアプリなのではないかと声を上げる方もいました。ただし、ラインの運営が利用者の個人情報を盗み見しているということも、ラインのアプリが盗聴に使われているというのも全て憶測で、証拠があった訳ではありません。
そのため、「もしかして、ラインも盗聴に使われているかも?」と心配な方も安心して良いと思います。ラインは数多くの利用者がいるアプリですので、アプリ自体には悪用の意図はないと考えて良いでしょう。ただし、携帯電話にロックを掛け忘れるなどしてラインを盗み見されてしまう可能性はあります。
ラインがスパイアプリとして一度疑われたのも、実際にはロックを掛け忘れた携帯電話を第三者が盗み見したというのが原因なのかも知れませんね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、携帯電話が盗聴器として悪用されてしまう可能性について解説しました。携帯電話はマイクや記録装置、通信装置にバッテリーが搭載されているので場合によっては盗聴器として使われる可能性があります。
携帯電話にスパイアプリをインストールしてしまうと、いつの間にか携帯電話で盗聴されてしまうことがあるので注意が必要です。「作動しているアプリ一覧」を確認し、もしインストールした覚えのないアプリがあったらスパイアプリの可能性を考えて一度どんなアプリなのかを調べるようにしましょう。