ストーカー対策に弁護士が役立つということは、知らない人も多いのではないでしょうか?
弁護士には、警察のように犯人を逮捕する権限はありませんが、ストーカー犯にストーカー行為をやめさせるための手段をいくつも持っています。
もしストーカー被害を警察に相談できない、または相談したくない事情があるのなら、弁護士に相談することは何よりの解決策になるでしょう。
今回は弁護士へのストーカー相談について知りたいという方のために、弁護士がしてくれるストーカー対策などについて説明していきます。
ストーカー対策を弁護士に依頼すべきなケースとは?
ストーカー対策と聞いて多くの人が真っ先に思いつくのが、警察に相談することではないでしょうか。
警察もストーカー対策に力を入れるようになったので、相談すれば積極的に問題解決に動いてもらうことが期待できます。
ストーカー犯の身元が分かっていて、証拠もあるのなら、犯人を逮捕してもらうことも可能です。
しかし犯人の情報や証拠が揃っていたとしても、警察に相談するより弁護士に相談したほうがいいケースもあります。
では警察よりも弁護士への相談を優先すべきなのは、いったいどんなケースなのでしょうか?
ここでは、ストーカー被害を弁護士に依頼すべきなケースについて説明していきます。
ストーカーされていることを警察沙汰にしたくない時は弁護士に依頼すべき
元交際相手が別れた後でストーカーになった場合、情があるので警察沙汰にはしたくないという人もいることと思います。
ストーカー相談を警察にした場合、警察は犯人に対して警告を出し、警告を無視してストーカー行為を続けた場合は逮捕されることもあるのです。
「ストーカー行為はやめてほしいけど、逮捕まではしてほしくない」
そんなふうに思っている人におすすめなのが、弁護士に相談するという方法です。
弁護士にストーカー対策を依頼すれば、元交際相手が警察に逮捕される心配もほとんどありません。
ただしストーカー犯があなたに危害を加えるなど、身の危険を感じた場合はすぐに警察を頼ったほうが良いでしょう。
ストーカーの相談をしても警察に動いてもらえない時は弁護士に依頼すべき
現在は警察でもストーカー事件の対応に力を入れるようになりましたが、それでも相談すれば必ず動いてもらえるというわけではありません。
被害について話しても、「その程度ではストーカーとは言えない」と言われたり、もう少し様子を見るように言われることもあるようです。
つまり本人がストーカー被害に苦しんでいても、警察にその危険性を認められなかった場合、対応してもらえない可能性があるのです。
こんな場合にも、弁護士にストーカー相談をするのは有効な手段だと言えます。
弁護士に相談することで、警察に動いてもらえるようになったり、警察に相談しなくてもストーカー被害を解決させることだってできる可能性があります。
警察に動いてもらえないとお悩みの方は、一度弁護士にも相談してみるといいでしょう。
弁護士にストーカー被害を相談すると何をしてくれるのか?
警察の助けなしでもストーカー被害を解決したり、動いてくれなかった警察を動かすために弁護士はどんなことをしてくれるのでしょうか。
弁護士にストーカー被害を相談した場合に、してもらえる内容はおもに以下の4つです。
- 内容証明の送付
- 代理交渉
- 警察への相談
- 民事訴訟
このうち「内容証明の送付」と「代理交渉」はうまくいけば、それだけでストーカー犯にストーカー行為をやめさせられます。
「警察への相談」は、動いてくれない警察を動かすための方法です。
さらに「民事訴訟」を行えば、ストーカー犯に慰謝料を支払わせることもできます。
ここでは弁護士にストーカー相談をした場合にしてもらえる4つの内容について、詳しく説明していきましょう。
弁護士の名前でストーカー犯に内容証明を送ってくれる
弁護士にストーカー対策を依頼した場合にしてもらえることで、一番簡単な解決策がストーカー犯に「内容証明」を送ることです。
内容証明とは「誰が誰にいつどんな内容の文書を送ったか」ということを証明する郵便を、郵便局が保証してくれる制度です。
相手がこれを受け取った時点で、その文書が相手に知らされたことの証明になります。
文書には、「ストーカー行為をやめなさい」「やめなければ裁判を起こします」などと書くのが一般的です。
この郵便は個人でも出せますが、弁護士に依頼すれば弁護士の名前で出してもらえます。
弁護士の名前がそこにあれば、このままでは裁判を起こされると焦ったストーカー犯にストーカー行為をやめさせることが期待できるのです。
弁護士が被害女性の代理人になってストーカー犯と交渉してくれる
弁護士は依頼人の代理人となって、ストーカー犯と直接話し合いもしてくれます。
つまり被害者のかわりにストーカー犯と直接会って、ストーカー行為をやめるように交渉してくれるのです。
被害者がストーカー犯にストーカー行為をやめるように言いたくても、直接会ったりすれば何をされるか分かりませんし、会いたいとも思わないでしょう。
それに被害者自身がやめてほしいと頼んでも、すんなり言うことを聞くストーカー犯はほとんどいないのではないでしょうか。
しかし弁護士が代理人としてストーカー犯と交渉すれば、犯人も事の重大さに気付き、ストーカー行為をやめさせることができるかもしれません。
被害者は直接ストーカー犯と会わずに済み、ストーカー行為もやめさせられれば一石二鳥だと言えるでしょう。
弁護士が被害女性の代理人になって警察へ相談に行ってくれる
弁護士が依頼人の代理人となって話し合ってくれる相手は、ストーカー犯だけではありません。
弁護士は被害者と一緒に、あるいは被害者のかわりに単独で警察署などに行って、警察にストーカー被害の状況について説明してくれるのです。
被害者が一人で相談に行った場合と違い、弁護士は第三者の目から客観的かつ法的に被害状況を話してくれるので、警察の対応も変わってくるはずです。
なにより法の番人である弁護士に被害内容の違法性を説明されれば、警察も動かざるを得なくなる確率が高いでしょう。
内容証明や代理交渉でも解決しない場合は、警察に動いてもらえるように働きかけてくれるのも弁護士に相談することのメリットと言えます。
ストーカー犯相手に民事訴訟を起こして慰謝料を請求してくれる
ストーカーの被害者は、ストーカー犯を訴えて民事裁判を起こすことも可能です。
裁判を起こす場合も、当然弁護士は依頼者の心強い味方となってくれます。
裁判に勝ったり、途中でストーカー犯と和解した場合は、慰謝料や損害賠償を請求可能です。
損害賠償は、被害者がストーカー行為によって被った損害額に対して支払われます。
例えばストーカーされたことにより精神を病み、治療やカウンセリングを受けるために支払った代金などです。
損害賠償額は実際に支払った代金に応じて決められますが、慰謝料は平均して150万円ほどとなっています。
弁護士に民事訴訟を依頼した場合、相応のお金がかかりますが、高額な慰謝料が支払われれば充分もとがとれるでしょう。
犯人が分からなかったり、被害を受けた証拠がないと弁護士は動けない
ここまで弁護士にストーカー被害を相談した場合にしてもらえることについて説明してきましたが、弁護士に依頼しても何もできないケースも存在します。
一つは、ストーカー犯がどこの誰なのか分からないというケースです。
ストーカー犯の身元が分からなければ、内容証明も出せませんし、代理人として交渉してもらうこともできません。
民事訴訟を起こす場合も相手の住所が必要なため、裁判も起こせないのです。
同様に、依頼者がストーカーを受けたという証拠がない場合も弁護士は動けません。
依頼者のストーカー被害を受けているという言葉だけでは、本当にストーカー行為を受けているのか判別のしようがないからです。
弁護士にストーカー相談をする場合は、探偵に依頼してストーカー犯を特定してもらったり、被害を受けたという証拠を日ごろから保存しておくようにしましょう。
弁護士にストーカー対策を依頼した場合の費用は5万円~慰謝料の額次第
弁護士にストーカー相談した場合にしてもらえることが分かったところで、次に気になるのはどれだけ費用がかかるのかという点でしょう。
どこの弁護士事務所に依頼するかによっても費用は変わってきますが、依頼内容によっては相場があります。
例えばストーカー犯に内容証明を送る場合は5万円ほど、代理交渉する場合は20万円ほどが相場のようです。
ただし代理交渉の場合、ストーカー犯との交渉が長引けばそれだけ費用も高くなります。
民事訴訟に関しては、明確な相場は存在せず、費用は成功報酬となっています。
裁判で被害者に支払われた慰謝料額に応じて、弁護士に支払う金額も変わってくるのです。
慰謝料が高額になればなるほど、弁護士に支払う額も高くなります。
とはいえ慰謝料が高額なら弁護士費用を支払っても、そのぶん依頼者に残る金額も多いはずなので、心配ないはずです。
弁護士にストーカー対策を依頼するにはどんなところに相談したらいい?
弁護士にストーカーの相談をする場合、どの事務所を選ぶのかは重要なポイントです。
弁護士事務所は全国にたくさんありますが、なかにはストーカー相談を扱っていない事務所もありますし、あまり実績のない事務所も存在するでしょう。
せっかく依頼をするのなら、ストーカー対策において豊富な実績がある弁護士事務所に相談したいものです。
では、ストーカー相談実績が豊富な弁護士事務所を見つけるにはどうすればいいのでしょうか?
次に、ストーカー相談に強い弁護士事務所を見つける方法について説明していきます。
ストーカーの無料相談を行っている弁護士事務所に相談
ストーカー相談実績が豊富な弁護士事務所を探すのに一番手っ取り早い方法は、インターネットで調べることです。
「ストーカー 弁護士」などのワードで検索すれば、ストーカー相談に力を入れている事務所がたくさん出てきます。
なかにはストーカーの無料相談を受け付けている弁護士事務所もあるので、依頼するかどうか迷っている方は一度話を聞いてもらいましょう。
実際に話を聞いてもらったほうが、安心して依頼できる事務所なのか判断がしやすいです。
とはいえ実際に依頼する場合、弁護士事務所に行き、直接弁護士とやり取りする必要があるので自宅の近くの事務所を選びましょう。
「ストーカー 弁護士 地名」で検索すれば、自宅近くの弁護士事務所も見つけやすくなります。
弁護士事務所が見つからないという人やお金がないという人は法テラスに相談
ストーカー相談に強い弁護士事務所をインターネットで探そうと思っても、住んでいる地域によっては見つからない場合もあるかもしれません。
そういう時は日本法支援センター、通称「法テラス」に相談するのがおすすめです。
法テラスは法的な問題に悩んでいる人の相談を無料で受けてくれたり、近くの弁護士を紹介してくれる公的なサービス機関です。
法テラスは全国各地にあるので、まずは近くの事務所で相談してみましょう。
また弁護士に依頼するだけの経済的余裕がないという人にも、法テラスはうってつけです。
法テラスではお金がないという人のために、弁護士費用の立替えもしてくれます。
ただし収入や資産などに応じた審査に通らなければ、弁護士費用は立て替えてもらえません。
費用を立て替えてもらえるか不安だという人は、一度法テラスに相談してみましょう。
まとめ
「ストーカー犯が元交際相手で情があるから警察沙汰にしたくない」
「警察にストーカー被害を相談したけど、動いてもらえなかった」
このような事情がある方におすすめなのが、弁護士に相談することです。
弁護士に依頼すれば以下4つの対策をして、ストーカー被害の解決を図ってくれます。
- 内容証明の送付
- ストーカー犯との代理交渉
- 警察への相談代行
- 民事訴訟
これらはいずれもストーカー犯にストーカー行為をやめさせたり、警察に動いてもらうためには効果的な手段と言えるはずです。
依頼するなら、ストーカー相談の実績が豊富な弁護士事務所を選びましょう。
ストーカーに強い弁護士事務所がどこか分からないという人は、法テラスに相談すればおすすめの事務所を紹介してもらえます。
ぜひ良い弁護士事務所を見つけて、ストーカーの相談をしてみてください。