「ストーカー被害にあっていることを警察に相談すれば、ちゃんと動いてもらえるものなの?」
そう思いこんで、ストーカーの被害に困っていても、なかなか警察に相談する気が起きないという人も多いのではないでしょうか。
今は警察もストーカー対策に力を入れているのでしっかり対応してもらえますが、確かに警察が動けないようなケースも存在します。
しかし被害女性の動き方によっては、確実に警察に動いてもらうことも可能です。
この記事では、警察にストーカー相談をしても、ちゃんと動いてもらえるか不安だという人のために、警察に動いてもらうための方法について説明していきます。
警察にストーカー相談をして、犯人に対してしてもらえることとは?
警察にストーカー被害を相談した時に、警察に動いてもらえることはたくさんあります。
例えば、被害を拡大させないための対策を教えてくれたり、自宅周辺のパトロールを強化してくれたりなどです。
ではストーカー犯が誰だか分かっていて、ストーカー行為をやめさせてほしいと相談した場合、警察はストーカー犯に対してどんなことをしてくれるのでしょうか?
ここでは、そのような場合に警察がストーカー犯に対してとってくれる対処方法について説明していきます。
ストーカー犯に警告後、禁止命令を出してもらえる
ストーカー犯がどこの誰なのかが分かっているのなら、警察に相談すれば警告を出してもらえます。
警察はストーカー犯に対し、「被害女性に対して、2度とストーカー行為をしないように」と注意してくれるのです。
それでもストーカー犯が相手の女性に対するストーカー行為をやめない場合は、公安委員会から禁止命令を出してもらえます。
禁止命令も無視してストーカー行為をした場合、犯人には2年以下の懲役、または200万円以下の罰金が科せられます。
ストーカー犯も捕まりたくはないはずなので、警告や禁止命令によってストーカー行為をやめさせることが期待できるでしょう。
警察に被害届を提出すればストーカー犯を検挙してもらえる
警察に警告を出してもらわずに、いきなりストーカー犯を検挙してもらうことも可能です。
この場合、ストーカー被害にあった場所を管轄する警察署に行って、被害届を提出することになります。
被害届に記載する項目は、以下のようになっているので、被害にあった日時や場所はしっかりメモを取っておきましょう。
- 被害年月日
- 被害場所
- 被害内容
- 犯人の住所、氏名、特徴
このうち「犯人の住所、氏名、特徴」に関しては、分からなくても被害届は出せますが、そのぶん犯人が検挙される確率はグッと下がってしまいます。
それを考えると犯人が誰か分からない場合は、あまり被害届を出す意味はないと言えるかもしれません。
また被害にあった証拠が何もないと、被害届を受理してもらえないケースもあるのですが、詳しくは次の章で説明します。
警察がストーカー犯に対して積極的に動けないケースとは?
2000年11月24日にストーカー規制法が施行されて以来、警察はストーカー事件に対する取り組みを強化しています。
それ以前はストーカー被害を相談してもまともに取り合ってもらえないケースもありましたが、今ではそのようなことは少なくなっているようです。
とはいえ警察にストーカー被害を相談しても動いてもらえない、または積極的に取り組んでもらえないというケースも存在します。
その場合、ストーカー犯に警告をしてもらったり、被害届を出しても捜査してもらえないという事態になってしまいます。
では、警察にストーカー被害を相談しても動いてもらえないのは、どういうケースの時なのかについて説明していきましょう。
ストーカーされたという証拠がないと警察は動けない
ストーカー犯が誰か分かっていて、警察に警告や被害届提出の申し出をしたいと思っても、被害にあった証拠がなければ警察を動かすのは難しいと言えます。
これは考えてみれば当然で、被害者が被害にあったと声高に叫んでも、証拠がない以上、警察にもそれが事実かどうか判別できないからです。
被害の事実があったかどうかも分からない状態では、警察もストーカー犯に警告を出すことはできません。
事情を聞いたり相談に乗ったりはしてくれますが、ストーカー犯に対する具体的なアプローチは期待できないのです。
また証拠がない状態で警察に相談に行くのは、危険な場合もあるので注意が必要です。
被害女性が警察に行ったことを知ったストーカー犯が逆上し、被害が拡大することも充分あり得ます。
警察に行くのは、最低限証拠を集めてからにしたほうが賢明かもしれません。
ストーカー犯が誰だか分からないと警察は捜査してくれないケースもある
先ほども説明したとおり、ストーカー犯が誰か分からなくても、警察に被害届を出すことは可能です。
しかし犯人不明で被害届が出された事件を、警察が積極的に捜査してくれるとはかぎりません。
例えば犯人の車のナンバーが分かっているなど、犯人につながる証拠があるのなら警察も捜査してくれるでしょう。
しかしそういったものが何もなく、被害内容も軽微なものであれば、警察の捜査はあまり期待できないかもしれません。
少なくとも、被害届を出した女性のあとをつけて犯人のしっぽを掴むというようなやり方をしている暇はないのが実情です。
ただし被害女性の家の周りを重点的にパトロールしてくれるので、怪しい人物に声をかけて捕まえてもらうことなら少しは期待できるかもしれません。
警察にストーカー犯を捕まえてもらうための2つの方法とは?
ここまで警告や検挙などストーカー犯に対するアプローチを警察にしてもらうためには、証拠と犯人が誰なのかについての情報が必要だと説明してきました。
これは裏を返せば、警察に動いてもらうためにはこの2つがあれば充分だということでもあります。
では証拠や、犯人が分からない場合の犯人の情報については、どのようにして集めればいいのでしょうか。
ここでは、ストーカー被害を受けた時の証拠の集め方と、犯人を突き止める方法について説明していきます。
ストーカーされたという証拠を集めれば、警察に動いてもらえる
ストーカーされていたという証拠があるのなら、警察に動いてもらうことも可能です。
ストーカー規制法では、以下8つの行為を禁止しています。
- 「つきまとい」「待ち伏せ」「押しかけ」「うろつき」などの行為
- 監視していることを告げる行為
- 交際や面会の強要
- 乱暴な言動
- 無言電話や連続した電話、メールなど
- 汚物などの送付
- 名誉を傷つける行為
- 性的羞恥心を侵害する行為
これらをされた時の証拠は、積極的に保存しておきましょう。
例えば、5の無言電話の着信履歴やメールなどは気持ち悪くて消してしまうという人も多いですが、証拠になるので保存しておくべきです。
2の「監視していることを告げる行為」や、3の「交際や面会の強要」がメールでされたのなら、それだけで立派な証拠になります。
録音しておけるよう、ボイスレコーダーを持ち歩くのも良い対策方法です。
ストーカー犯が誰なのかをつきとめれば、警察に検挙してもらえる
ストーカーされている証拠があっても、それがストーカー犯の正体につながるものでなければ、必ずしも犯人が検挙されるとはかぎりません。
先ほども説明したとおり、被害の内容が軽微なものであれば警察が捜査してくれないということも考えられるからです。
ストーカー犯を確実に捕まえてほしいのならば、犯人が誰なのかも把握しておく必要があります。
しかし犯人が見知らぬ誰かであるのなら、一般市民がそれをしようと思っても難しいのが実情ではないでしょうか。
そんな時、頼りになるのが探偵で、探偵に依頼すれば、被害女性のあとを尾行したり、自宅付近に張り込んだりして犯人が誰なのか特定してくれます。
5~50万円と相場価格は安くありませんが、確実にストーカー犯を捕まえてもらいたいのなら、探偵に依頼することを考えてもいいかもしれません。
ストーカーされた証拠がなくても警察に犯人を検挙してもらう方法とは?
とは言っても実際にはストーカーされたという証拠を集めようと思っても、なかなかうまくいかないというケースもあるでしょう。
電話やメールで行われる類のストーカー行為なら証拠を保存するのも簡単ですが、あとをつける「つきまとい」などの場合、証拠を集めるのが難しいものです。
しかし場合によっては、ストーカー被害にあった証拠がなくても、被害届を出して犯人を検挙してもらうこともできます。
その方法とは、ストーカー以外の罪状で被害届を出すことです。
ここでは、ストーカー犯を別の罪状で検挙してもらうための事例について紹介していきます。
住居侵入罪などで警察に被害届を出せば検挙してもらえる
先ほど紹介したストーカー行為のうち、1の「つきまとい」「待ち伏せ」「押しかけ」「うろつき」などでは、被害にあった証拠を集めるのは難しいものです。
しかし彼らは、ストーカー以外の犯罪行為もしている可能性があります。
例えば相手の自宅や勤務先に押しかけたり、うろついたりする「押しかけ」や「うろつき」では、相手の自宅敷地内に勝手に入ってくるかもしれません。
この場合、刑法第130条の「住居侵入罪」にあたるので、被害届を出せます。
同様に多いのが、被害女性の郵便ポストから郵便物を出し、中身を盗み見るケースです。
ストーカーは相手の女性の個人情報を知りたがるため、こうした被害も多くあります。
この場合、刑法第133条の「信書開封罪」にあたるので被害届を出しましょう。
脅迫罪などで警察に被害届を出せば検挙してもらえる
住居侵入罪や信書開封罪と同じく、ストーカー犯がやりがちな犯罪が刑法第222条の「脅迫罪」です。
脅迫罪とは、相手の生命、身体、自由、名誉、財産に害を与えることを伝えて、相手を脅迫する行為を指します。
例えば「このこと(ストーカーしていること)を誰かに言ったら、お前の命はないぞ」などと脅してきたら、それは立派な脅迫です。
直接言ってきたり、電話でこれを言ってきたり、メールで送ってくる可能性もあります。
メールならそれがそのまま証拠になりますし、電話がかかってきたら通話記録を録音する準備をしておきましょう。
相手が分かっているうえ、証拠もあれば、検挙してもらうのは難しいことではありません。
まとめ
ストーカー犯が誰か分かっていて、なおかつ証拠もあるのなら、警察に警告を出してもらったり、被害届を提出すれば検挙してもらうこともできます。
逆にストーカーされた証拠がまったくない場合、警察はストーカー犯に警告は出せませんし、被害届も受理してもらえない可能性が高いでしょう。
またストーカー犯が誰か分からなければ、被害届は受理されても、犯人検挙の確率は一気に低くなります。
ストーカー犯への確実な処罰を望むなら、ストーカーされた証拠と、犯人が誰なのかの情報が必要です。
とはいえ、証拠も犯人の手がかりもないからといって諦めることはありません。
犯人が誰かは探偵に依頼すれば分かりますし、ストーカーの証拠がつかめないなら他の犯罪の証拠を集めればいいのです。
この記事を参考にして、ぜひ警察にストーカー犯の対処をしてもらってください。