ストーカー規制法でも規制されているつきまとい行為の代名詞とも言える行為が、待ち伏せ
です。
この待ち伏せとは、「相手の行き先に先回りして隠れて待つこと」を指します。たとえば、自宅前、学校や勤務先、近所のコンビニやスーパー、最寄り駅など日常的に利用する場所がよく狙われます。
このつきまといや待ち伏せ行為は、どのような対策が効果的なのでしょうか。今回はストーカーの待ち伏せ対策についてご紹介していきます。
ストーカーの待ち伏せ対策は記録が第1段階!その方法は?
ストーカーの待ち伏せ対策は大きく分けて3つの段階に分かれます。
まず、第1段階は「記録をすること」に限ります。記録というのは今後、様々な裁判や警察での被害申告においてとても強い証拠能力を発揮します。そのため、こういった事態に巻き込まれた時はとにかく記録をとる、というのが重要です。
ここではストーカーの待ち伏せ対策においてどのような記録を取っておくと後々効果的なのか、そして、記録を取る際にストーカーを刺激しないためやってはいけないことについてご紹介をしていきます。
まずは「自分の行動」の記録を取り、行動の証拠を残すことが重要
まず最初にやるべき記録は自分の行動の記録をとるということです。
というのもストーカーの待ち伏せを立証するためには、まず自分がいつどこにいたか、そしてどのような場所に立ち寄りどういった行動をとったか、その時一緒にいた人は誰で証言者となり得る人は誰かというような部分の記録を取っておく必要があります。
これがなければ最終的にストーカー行為を立証することができなくなってしまう可能性がありますので、まず一番最初に行うべき行動はこの自分の行動の記録を正確に残すということです。
ストーカーの待ち伏せがあれば、離れてからでも良いので正確に記録をつける
さらに、移動先にストーカーの待ち伏せがあった場合には、気持ち悪いかもしれませんが、まずはこの行動についてきちんと正確な記録をつけるということが必要です。
つまり先ほどの項目で行った自分の行動の記録とストーカーの行動の記録が一致するように記録していくというわけです。
なお、これはストーカーの目の前でやっていいものではありません。ストーカーから離れ、ストーカーが見ていない場所からで問題はありませんので、安全なところで正確に記録をつけるようにしましょう。
このとき、日付や時間、さらに車通りが多かった、あるいは最寄りの駅の電車が止まっていたなど、その現場周辺の状況についてメモをしておくと警察の方でも情報の整合性が取りやすくなります。
ストーカーの写真を撮影するのは刺激してしまう可能性が高いためNG!
そして記録を取るときによくやってしまいがちなことに、ストーカー本人の写真を撮影するケースがあります。これは本人を刺激してしまい、刺激されたストーカーを本人が激昂して思わぬ行動に出てしまうことが予想されます。
そうなってしまうと大変危険な状況に陥いる可能性が高くなってしまいますので、ストーカーの写真を直接撮影したり、声をかけたりというような行動は慎むようにしましょう。あくまでも冷静に記録をとるということに努めるべきです。
なお、この時点でストーカーに接触されているなどの場合は、この後の項目を飛ばして迷わず警察に通報で問題ありません。
第二段階:警察や専門家へストーカー被害を相談する時にあると良いものは?
第一段階で取得した記録を元に、警察や専門家やストーカー被害を相談する時にはいくつか持っておくと良いグッズがあります。
ここでは警察や専門家へストーカーの被害について相談、あるいは被害の申告を行う時に持参していると良いものについてご紹介をしていきます。
ストーカーの待ち伏せ対策に、日常の行動ルートを変える、1人で出歩かず必ず家族や友人と歩く、タクシーに乗る、戸締まりを強化するといった対策方法がありますが、長い間この方法をとることは精神的負担からも現実的ではありません。
そのうちストーカーが諦めてくれると思うかもしれませが、ストーキングが重症化することに備え、しっかりと記録を残し、はやい段階で専門家に相談し相談履歴だけでも残すべきです。
ストーカーの証拠や日々の記録は相談がスムーズになるため絶対に持参すべき
第一段階で取得したようなストーカーの証拠だったり日々の行動の記録などについては、相談や被害申告が大変スムーズに進むため絶対に持参をしておくべきです。
いきなり複数の人に日々の自分の行動履歴について見られるというのはあまり気持ちの良いものではありませんが、それよりも今はストーカー被害に対処するという点を優先すべきです。
ちなみにこの相談については女性の方に相談することができるケースがほとんどです。警察であれば女性警官が相談に乗ってくれるケースもありますので、遠慮なく「女性の方に相談をしたいのですが」と申し出るようにしましょう。
また、相談する際はどのような事を知りたいのか事前に質問リストも作っておきましょう。
- 効果的な対策方法はあるのか
- 戸締まりなど今の生活を送る上で注意点はないか
- 相手に対して警告や注意などをしてもらえるのか、それをして大丈夫なのか
- ストーキングに警察が動ける法律違反はないか
- 慰謝料など請求できるのか
など聞きたいことをリストアップし、疑問点を解消することも大事です。
相手の素性の見当がついている場合は、知りうる限りのデータ提供をしよう
さらにストーカーについてある程度相手の素性の見当がついている場合には、その人について知りうる限りのデータを専門家や警察に提供すると事態の収束がスムーズになることがあります。
ただし、事態の収束がスムーズになることと相手に即座に連絡がいくこととは必ずしもイコールではありません。
ストーカー対策に慣れている専門家は、ストーカー加害者にすぐ連絡してしまうと逆上するケースがあることを十分に理解しています。そのため、そういった可能性があると判断した場合にパトロールを増やすなどして様子を見るというケースもあります。
この時警察は何もしていないように見えますが、相手の情報を提供していればきちんと相手の調査などは水面下で進めてくれているケースがほとんどです。
第三段階:現行犯で危険を感じた時に取るべき「緊急対処」とは?
専門家に相談しストーカー対策をとっていても、どうしようもなく身の危険を感じた時には緊急対処の必要があります。
例えば、今までただ待ち伏せしていただけのに、付き合ってくれないなら殺すとメールが届き、人通りがない暗い夜道でもついてくるようになったという可能性が十分にあります。また、待ち伏せからいきなり襲われる可能性だってあります。
このような事態に陥った場合、どのような緊急対処があるのか、ここでは緊急事態に陥った時に取り得る行動についてご紹介していきます。
防犯ブザーを鳴らし、出来れば併せて大声を出すとより効果的に!
ストーカーが目の前に現れ何かしようとしている、非常に身の危険を感じるといった状況があるかもしれません。
そういった時、まずは手持ちの防犯ブザーあるいはスマホのアプリにある防犯ブザーアプリなどを起動し、可能であれば大声を出しながら人気のあるところに離脱するようにします。
ただし、相手が明らかに逆上する危険性がある時には別の方法をとるようにします。この辺りの判断については難しい部分がありますが、基本的に少し走れば周囲に大きな通りがあったり人通りがある可能性があれば防犯ブザーの出番と思ってよろしいです。
逆に全く人気のない地域などを歩いている時には、この後ご紹介するもう一つの方法を使うようにします。
何気ない電話を装って警察に通報するという方法も効果的!
緊急対処の方法に、まるで友達や家族に電話しているようないわゆるタメ口で警察に電話をかけるという方法もあります。
背後から付け回されていてまだ差し迫った危険はないものの、おそらく危険が差し迫るであろうという場合にはこの方法が有効です。
警察に電話しているということがストーカーにバレてしまうと逆上して何をするか分かりませんが、タメ口で電話することで犯人を追い詰めない効果があります。
それでいてすぐに警察官に現場に急行してもらうことができますので、通報を受け付けた警察官の指示にタメ口のままでいいので状況を伝えるようにしてください。
もしスマートフォンで050番号を使っている場合、警察に通報できない事があるのでこのあたりの確認もしておきましょう。
実際に警察にタメ口で電話するとどうなる?そのシミュレーションを解説!
何気ない電話を装って警察に通報する方法を先ほどご紹介しましたが、この方法だと警察にタメ口を使うなと怒られてしまったり、いたずら電話だと思われてしまったりするのでしょうか。
基本的にはそのようなことはありません。
応答した警察官にどうしましたかと聞かれたら、最初に
「もしもし、お兄ちゃん(あるいはお父さんなど家族の名前を出し)、今〇〇にいるから迎えに来れないかな、なんとなく後ろから変な人が付いているような気がして」
などと伝えるようにすれば差し迫った状況であることを警察官が察知し、うまく通報者から情報を引き出すように誘導してくれます。この方法で状況が全く察知できない担当警察官はほぼいないと思って構いません。
メール110番が使える都道府県ではメール通報も利用可能
場合によっては声を出す通報が難しい場合もあります。そんな時には都道府県によってメール110番という通報のシステムがありますので、可能な場合は利用します。
「今現在いる場所の都道府県名 メール 通報 警察」
などのキーワードで検索すると、各都道府県警察がメール110番システムを持っている場合は検索結果にそのページが表示されます。そこから通報するようにしましょう。
また、現在地の都道府県警察にメール通報システムがない場合には近隣の都道府県の通報システムでも構いません。そちらに事情を送信することにより若干のタイムラグは出ますが現地警察に情報が通知されます。
声を出すと危険な場合はメール通報と覚えておきましょう。
どうしても相手と対峙しなければならない状況の時はどうするのがベスト?
状況によってはどうしても相手と対峙しなければならないケースも可能性として想定しておかなくてはなりません。
ただし、相手が何を持っているかわからない場合には絶対に体を近づけてはなりません。催涙スプレーや刃物などがあっては非常に危険です。
格闘技などの経験や専門的な訓練を受けているなどの場合を除き、基本的には出来る限り間合いを取り、その上で、相手に攻撃されないよう逃げる準備を整えます。
逃げるタイミングがつかめない場合には、変に相手を殴ったりしようとせず、顔めがけて何か自分の持っている物を投げつけ、相手を怯ませた上で全力で逃げるというのに限ります。相手とやりあおうと思ってはいけません。
まとめ
ストーカーの待ち伏せというのは非常に恐ろしいものですが、冷静に記録を取ることが必要です。自分の行動に関する記録、そしてストーカーが現れた際の詳細な記録、この2つがストーカー対策を行う上でマストアイテムになります。
これらの記録を元に警察や専門家に相談しましょう。タクシー乗車や人と一緒に歩くといった待ち伏せ対策はありますが、長期戦やストーキングの重症化を防ぐには専門家の力が必要です。
また、本当の緊急事態には防犯ブザーを鳴らしたり、何気ない電話を装って警察に通報する、声を出せないときはメール通報システムもという方法が効果的です。緊急時は頭が真っ白になるかもしれませんが、いざという時に備えることも重要です。