警察庁の発表によりますと、平成29年の1年間で発生したストーカー事案の相談等件数は23079件。1年間でこれだけ多くの人がストーカーの被害に悩まされています。
ストーカー被害に遭っている方が日常的に連続して悩まされるものと言えば、「LINE」や「メール」です。ストーカーから頻繁に送られてくるLINEやメールは、受ける側からすると恐怖でしかありません。
この苦痛から解放されるためには、私たちは一体どのような対処をしたら良いのでしょうか?
ストーカー対策の中でも、LINE・メールに重点を置いて対処法をご紹介いたします。
ストーカーからのしつこいLINEやメールは無視すると危険
一般的な恋愛の場ですと、一方的に来るLINEやメールには「無視したらいいよ」というアドバイスが送られることが多いでしょう。実際に、無視されることで脈ナシと判断し、諦める男性がほとんどです。しかし、ストーカーの場合は違います。
「無視すれば相手が諦めるのでは?」と期待する気持ちは当然だと思います。しかしストーカーの場合は、無視されればされるほど行為がエスカレートして行くことが考えられます。
一体なぜこのようなことが起こってしまうのでしょう?
ストーカーは既に「普通じゃない状態」 一般的な常識を当てはめるのはNG
ストーカー行為をしていること自体が既に普通ではありません。もしあなたが「無視されたら普通は諦める」と考えているのであれば、その「普通」がここでは通用しないことを知る必要があります。
ストーカーは無視される毎に怒りや不満を募らせています。その歪んだ感情がピークを迎えた時に、LINEやメールでは済まずに直接会いに来るという行動を取る恐れもあります。
LINEをブロックする、メールアドレスを変更するなど、一方的に連絡を遮断するのは更に危険です。よりストーカーを怒らせる行為となり得ます。
ストーカー対策に必要なのは無視でもブロックでもなく、LINEやメールに対する正しい対処法です
「やめて」と言ってもやめない相手であることを認識すること
常識的に考えると、「嫌がっているからやめて」と言われたら大抵の人がやめるでしょう。しかしストーカーには「やめて」が一切通用しないことを、私たちは認識しておかなければなりません。
通常、「やめて」と言われたら人は「悪いことした」「嫌がるようなことをした」と自責の念が働きます。しかし、ストーカー化してしまった人間は「相手が自分の期待に応えるべき」という一方的な歪んだ考え方をします。
ストーカーにLINE・メールを「やめて」と言っても、ストーカーは「酷いことを言われた」と、自分が被害者のような受け取り方をするでしょう。「やめて」は効果が無い上に、相手のストーカー行為をエスカレートさせる危険があります。
ストーカーは連絡を遮断されると逆上し破壊的な行動を取るリスクが高い
ストーカーから来るLINEやメールを無視するのは危険です。2016年に小金井で起きたストーカー死傷事件は、まだ多くの人の記憶に新しいかと思います。
女子大生シンガーソングライターの冨田真由さんが、ストーカーにより全身数十カ所を刺されるという、極めてショッキングな事件でした。
この事件で、犯人は当初SNSを通じてストーカー行為を行っていました。ネット上のやり取りだけでは済まず、直接冨田さんに会いに行ってしまった切掛けの一つが「ブロック」だったと言われています。
連絡の手段をシャットアウトしてしまうのは、ストーカーを逆上させるリスクが高いです。身の安全のために、嫌でも連絡手段は残しておいてください。
返事もNG ストーカーから来るLINEやメールはなるべく読まないこと
無視もブロックもダメなら、何か返事をしなければならないのでは。そう思われた方も多いと思いますが、実は返事もNGなのです。
ストーカーは一方的にLINEやメールを送り付けておきながら「自分に返事をするべきだ」と考える傾向が強いです。返事をしないあなたが悪いという考え方です。とてもまともな精神状態ではありません。
返事をしてしまうと、ストーカーの満足感を満たし、更に行為をエスカレートさせるリスクが高いです。
また、一方的な歪んだ愛情が詰まったLINEやメールに目を通すのは、あなたにとって苦痛以外の何物でもないでしょう。読むと負担の大きいものですので、なるべく読まないことをおすすめ致します。
必要なのは無視でもブロックでも返事でもない「正しい対処法」
無視してはダメ、ブロックも危険、返事もNG。では一体どうしたら良いのでしょうか?「正しい対処法」とは一体どういうことを言うのでしょうか?
その答えは「しかるべき所に相談する」ということです。相手が「ストーカーになりそうだな」と危険を感じさせる段階であれば、まだ言葉で諭す余地は残っています。しかし、相手がストーカー化してしまったのであれば、最優先にするべきなのはあなたの安全です。
「しかるべき所」というのはもちろん警察を指します。ストーカー事案においては、我慢して放置するのは危険と考えられています。ストーカー被害を受けて苦しんでいるのであれば、我慢せずに警察へ相談するようにしましょう。
警察に相談するにしても証拠が必要 LINEやメールはそのまま証拠に使える
「やめて」と言っても無駄な相手ですが、それでもしつこいLINEやメールに「やめてください」という意思表示をする必要があります。なぜなら、それが後々「嫌がっているのに送られて来た」と示す証拠になるからです。
警察は証拠がないとなかなか動いてくれません。極端な例ですと、相談しても「あなたの話だけでは警察は動けない」と、何もしてくれなかったという報告もあります。
連続して何件もLINEやメールを送る行為は、ストーカー規制法の規制対象です。あなたが受け取ったLINE・メールがそのまま証拠になります。あなたが嫌がっていたという証拠を残すために、あえて「やめて」とLINE・メールで伝えておくようにしましょう。
ストーカーから送られて来たLINE・メールを証拠として警察に提出
証拠を持って警察に相談したら、警察からストーカーに対し「ストーカー行為を止めなさい」という注意や警告が行われます。ほとんどの場合はこれで解決しています。逮捕のリスクを犯してまでLINEやメールを送り続ける人間は、そうそういないのです。
しかし、ストーカーがそれでもLINE・メールを送り続けて来た場合。あるいはLINEやメールは止まったけど、直接姿を見せるようになった場合。これは非常に危険な状態だと判断されます。
速やかに警察に連絡し、相手がストーカー行為をやめないと伝えましょう。悪質なものや危険性の高いものに関しては、警察はストーカー規制法に則りしっかりと検挙してくれます。
被害がLINE・メールに留まらなくなって来たら身の安全を優先
ストーカーが直接あなたにコンタクトを取るようになれば、精神的な苦痛のみならず身体の危険を考慮しなければなりません。
「つきまとい」「待ち伏せ」「押し掛け」「うろつき」「面会や交際の要求」これらは全てストーカー規制法で規制対象となっている行為です。該当する被害に遭った時は、迷わず警察に相談するようにしましょう。
家が知られている場合は、引っ越すことも考えなければなりません。学生であれば学校のこと、社会人であれば仕事のこと、または家族のことなど、様々な理由で簡単には引っ越しできないと思います。しかし、「命が危ない」と感じた時は、迷わず逃げてください。
どんな事情よりも、あなたの命が大事です。
まとめ
ストーカーからのしつこいLINEやメールは、受ける側の精神をむしばみます。放置することなく、正しい対処を行うようにしましょう。
ストーカーに常識や社会通念は通用しません。一般的な恋愛であれば無視は常套手段ですが、ストーカーが相手だと無視はストーカー行為をエスカレートさせる原因になり得ます。
ブロックやメールアドレス変更といった連絡のシャットアウトは、ストーカーを逆上させるリスクがあります。我慢して受け取るようにしましょう。ただ、律義に目を通す必要はありません。
LINEやメールはそのままストーカー被害の証拠になります。警察に相談し、あなたの身の安全を最優先させた行動を取ってください。